047 呪歌使い・吟遊詩人  お見本作文・・・明さん
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<吟遊詩人>
 その唄が何なのか最初誰もわからなかったが、やがて段々と惹かれるように皆が唄に聞き惚れていった。

「珍しいな」

 唄を聞き終えて、聴衆の一人が唄の感想を言った。

 その唄は、古くからあり、誰もが知っている有名な英雄譚の一つだったからだ。

 吟遊詩人が歌った唄は、英雄譚と比べてみるとあまりにも内容がかけ離れていた。

「つまらなかったですか?」

 歌い終えた吟遊詩人は問うた。

「いいや、そんなことないさ」

「今まで聞いたどんな唄(ヤツ)より面白かったよ!」

 そうだそうだと、聴衆は頷く。

 人々が知る英雄譚が謳うは、誰もが望む完全無欠な英雄像(ぐうぞう)を。

 今宵吟遊詩人が語ったは、欠点を持ち、苦悩もする、人間性溢れる一人の冒険者のコトを。

 同じ内容(ウタ)でありながら、こうも違うか。

 其れは主人公や仲間たちだけではなく、歌詞の内容や敵役についてもそうだった。

 英雄譚の中身が『御伽噺』めいて、敵役でさえも単なる『悪役』に過ぎないのに比べ。

 吟遊詩人の唄の中身は――当事者でしか知りえないような赤裸々な『事実』に『真実』に加え、敵役も背景も感情を持つ、主人公とは立場が違うに過ぎない『人間』だった。

「【英雄】なんざ、違う世界の住人の噺だと思ってたんだが、アンタの唄を聴いてると【英雄】も案外俺たちと同じ人間なんだなあ、って思ったよ」

「そうですか……それは本当にどうも有難うございます」

 吟遊詩人は、唄の出来や楽器の技量を賛嘆されるよりも、その感想(コトバ)にとても嬉しそうに礼を言った。

 この唄に出てきた『人間性溢れる一人の冒険者』の笑顔、そのもので。
※この物語(文章)の著作権は明さんにあります。
 素敵なお見本有難うございますm(_)m。

注意:イメージ画はにゃんこ☆が自作素材を加工した物です。

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