| 051 衛兵・兵士・自衛団員 | お見本作文・・・明さん |
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| <衛兵> | |
| 念願だった衛兵に志願して、街の警備――街の正門の門番に配属された。 やっと憧れの衛兵になれたんだ! これから街を守るために頑張るぞ! 嬉々として就任し、仕事に励むつもりだったが…… 「ワン!」 俺が就任場所に着いて目にしたのは、一匹の老犬だけだった。 ――お前、街の正門の門番に就任(つい)たのか。 だったら一つ忠告しておく。 正門の門番には、俺たちよりもずっと長いことやってる大先輩がいる。あの方の言うことはよく聞くんだぞ。 あの方は俺たちよりもよっぽど優秀だからな。 昨日の飲み屋で、衛兵の先輩は新入りの俺にこう懇々と忠告してくれたのだったが…… ……俺、騙されたんだろうか? そういや、俺たち飲み屋でしこたま酒飲んでたよな……。 ……先輩、酔ってたな。 二日酔いとは別の意味で痛む頭を抑え、正門の番所内を改めて念入りに探しまくる。 他に誰か人間(じゃなくても、エルフでもドワーフでも妖精でも何でもいい!)――つまりは、この犬以外誰か人はいないのかぁ!? ……いなかった……。 この犬だけしか見当たらなかった。 もしかして、と思い職員の名簿を当たるも、名簿には老犬の名前しか書かれておらず―― 俺は震える手で職員名簿に自分の名前を書き、ショックの余韻を引き摺ったまま、俺の辞令を机の上に置いた。 「これからよろしくな、相棒」 「ワン!」 ハハハハ。俺は乾いた笑いを浮かべながら、これから仕事の相棒になる老犬の頭を撫でた。 老犬は嬉しそうに尻尾を振って、俺を見上げていた。 ――前途多難、だった。 ※※※ 門番に就いてから日を置くうちに、俺の懸念は大間違いだったと身をもって知らされることになる。 この街はそれなりの規模を誇る都市だ。犬が番犬代わりで門番が務まるような、小さな村や人通りの少ない街でもない。 それでもあの老犬――おっと、これは『彼』に対して失礼だった――、俺の相棒にして『彼』が門の番人しているということは、それだけで『彼』がただの犬ではない証拠だ。 それにこの街は、外から訪れる者は――特に冒険者が多い。 この街は冒険者の街として知られている。 冒険者といえばならず者の代名詞であることもあるが(そういう奴らは、彼らの一部にすぎないが)、この街はとても治安がいい。 冒険者たちは街では大人しく(俺たち衛兵が呼ばれるような問題を起こさない、暴れないという意味で)している。 そんな彼らともっとタチの悪い冒険者(ヤツラ)を街の門のところで見分けて、街に入れるのも入れないのも(勿論、冒険者以外の不審者などもチェックしているが)俺達の仕事なのだが…… それを見分けるのも、『彼』の仕事だ。 『彼』は普段寝ているだけで、街への来訪者の名前を聞いたり目的を聞いたり、荷物のチェックをして記載するなどの普通の仕事は俺がするのだが―― 一端怪しい奴が来ると『彼』は急に目を覚まし、人が――この場合は犬だろうか――が変わった様に吠え、飛びかかる。 『彼』の眼に狂いはなく、実際俺が見過ごしてしまい街へ入れそうになった者も警告した。 『彼』に警告された不審者は逆上するも、俺が出る幕もなく『彼』が倒してしまったこともあった。 ……俺よりも『彼』の方が数倍も強いことは、間違いないな。うん。 実をいうと――今でも俺は門番をやっているが、これは初日に『彼』は認めてくれたおかげだからなのだと、後から知った。 正門の番所に俺以外に誰もいなかったのは、『彼』のお眼鏡に適わなかったからだという。 初対面で『彼』が嬉しそうに尻尾を振って、『彼』が触らせることを許した衛兵は俺が始めてだそうだ。 このことは俺の一番の誇りと同時に、自慢でもある。 『彼』は、 この街ができた頃には既にここにいて、街に訪れる人々を見定めていたという。 ――いいや、この街ができる以前から、彼はここにいて。 人々を見守っている、守護神だと。 衛兵(おれ)たち――いいや、俺たちだけではなく、この街を守る者たちの間で、そう囁かれている。 |
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An author of this short short is "Akira".
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